木村 智映 「プロフェッショナル」その1

お互いの剣先が交わり
一瞬時が止まったような感覚に包まれる。

次の瞬間には相手の竹刀が私の脳天を捉え
審判は相手の旗を勢いよく振り上げる。
「メン有り」

幾度となく繰り返された
私の負けパターン。

監督からはいつも、こう言われました。
「居着いたら負けだ」





少しでも成長できたらいいなという安易な考えから
20代前半はよく有名な経営者の本を読んでいました。

それらの本を読むと
目標達成と次の一手は同時に行う
様な事がよく書いてあります。


「人間、『これでいい』と満足したら進歩は止まる。成功した瞬間、目標を達成した瞬間に何を感じ、次の一歩をどう踏み出すかでその後の人生が決まるのである。」

これは本田宗一郎氏の言葉です。
説明不要ですが、HONDAというメーカーは
こういった考えを持った経営者の元で
世界的なシェアを誇る会社へと成長しました。

技術者でもあり
社長でもあった本田宗一郎氏。

晩年は、他社が見限った旧来の技術を
独自に発展させようと奮闘しました。
そのこだわりを捨てきれず
時代に取り残されていき
社内で不満の声が上がりました。

「あなたは社長なのか、技術者なのか」
苦楽を共にした副社長からの厳しい問いに
「自分は社長であるべきだ」
と、苦しくも答えたといいます。

確かに本田宗一郎氏は
紛うことなき日本を代表する経営者です。
私などが批判できる立場ではありません。

しかし、プロフェッショナルかと問われれば
皆さんはどう思われるでしょうか?





....話は大きく変わります。

私は幼稚園に通う前から
大食いの幼児
として親族間で有名でした。

同い年の子の何倍食べても満腹にならず
もはや何が満腹なのかも分からず
食べに食べていた。
と、両親から聞かされます。

食事の終わりは
・食卓から食べ物が無くなるか
・食べ過ぎて苦しいか
この2択でした。

もはや食事ではありません。
苦しみに変わるまでその作業は続きます。

しかし私自身はそれで満たされていたのです。
訂正します。
これが満たされたということなのだと
勘違いをしていたのです。

昔から母がこう言っていました。
「なぜだか、美味しいものは、少し食べただけでお腹いっぱいになるのよね」

当時の私には共感出来ませんでした。
満たされる方向性がまるで違うのですから。

行き先の違う行為をしているのは
満足する・しない以前の問題であり
この過ちに気が付かなければ
一生満たされないばかりか
身体は間違いなく壊れるでしょう。

数年、または数十年後、
その身体が豊かに満たされた状態なのか
苦しみ壊れていく状態なのか
を見れば
どちらが本当の食事なのか
明らかですよね。